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盗撮動画ビジネス 「高価買い取り」被害者増加に拍車
女性の盗撮動画などを有料配信するサイト運営会社が
福岡県警などに摘発された事件は、インターネットを
舞台にした動画ビジネスが、盗撮被害に拍車を
かけている実態を浮き彫りにした。
同社はサイトで動画の「高価買い取り」をうたい、
200人以上からわいせつな動画を
買い取っていたことが判明。著名人の盗撮動画の
提供者に100万円以上の報酬を払ったケースも
あった。ある県警幹部は
「女性の人権を踏みにじる最低のビジネス」
と捜査を振り返った。
「当初は自分で観賞する目的で盗撮していたが、
動画の買い取りサイトを発見してからは
月平均で約20万円の報酬を得ていた」
サイトに盗撮動画を提供したとして、
リベンジポルノ防止法違反(公表目的提供)に
問われた男について、10月20日に福岡地裁で
あった初公判。検察側は男が盗撮動画を
売って多額の収入を得ていた実態を明らかにした。
男は、福岡市中央区のコールセンターオペレーター、
山本雄一郎被告(34)。冒頭陳述などによると、
山本被告は人の動きを感知して自動的に撮影を
開始する小型カメラを購入し、福岡市中央区の
商業施設の多目的トイレなどに設置。
記録媒体や電池を交換しながら盗撮を続け、
2014年ごろから約2年間にわたって動画を
サイト運営会社に売却してきた。被害者には
著名人5人も含まれ、5人の動画を提供した際は
計110万円の報酬を受け取っていた。
福岡地裁は今月16日、懲役6月を言い渡した。
捜査関係者らによると、サイト運営会社は
五つの動画配信サイトを持ち、盗撮を含む
1万本以上のわいせつ動画を有料で配信。
売り上げは14年以降のわずか約2年半で
約10億円に上っていた。
東京にある関係先から押収された
動画提供者リストには、200人以上の
名前や報酬の振込先となる口座番号が
記載されていたという。
盗撮動画は、トイレや更衣室、温泉の
脱衣場などで撮影されており、著名人を
狙い撃ちしたとみられる映像もあった。
インターネットで公開されると拡散を
食い止めるのが難しいため、被害者の
精神的被害は深刻で、ストレスによる
体調不良で通院し、仕事にまで影響が
出ているケースもあるという。
映像の拡散を確実に防ぐ手立てはなく、
ヤフーなどネット事業者でつくる
「セーファーインターネット協会」は昨年、
ネット上で見つけた盗撮動画や画像のうち
1446件の削除を要請したが、
実際に削除されたのは約半数の761件にとどまった。
今回の事件では、福岡、沖縄両県警が
サイト運営会社の経営者ら17人を
わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管容疑などで
逮捕し、16人が起訴された。
このうち少なくとも9人に有罪判決が出ている。
同社の五つのサイトのうち一つは閉鎖されたが、
残りも含めて同種のサイトは数多く存在しており、
盗撮動画などが売買される状況は今も続いている。
摘発された会社の従業員だった30代の男は
福岡拘置所で毎日新聞の取材に応じ
「給料が良くて未経験でも大丈夫と聞いて入社した。
仕事内容を知って辞めようと思ったが、
人手不足でなかなか辞められなかった。
結果的に犯罪に加担してしまい後悔している」
と話した。
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